タイの九月。産業界は復調か、政治はいまだ不透明

タイは政治の混乱が大きな懸念材料となっています。「微笑みの国」とも呼ばれ、穏やかな国民性で知られるタイだけに今回の政治の混乱はかなり驚きでした。一方では流血の惨事などが起こっておらず、いかにもこの国らしいという感じもします。ただこの政治の混乱が経済にも悪影響を及ぼしているのは間違いないところで、先の洪水被害とともにできるだけ早く収集し、安定を図ることが大事なのでしょう。

9月にはこれといった政治関連のニュースはありませんでしたが、NCPO、暫定内閣、NLAによる政治状況は軍が掌握している状況で今後どのような状況へと展開していくのか、もっといえば「転んでいくのか」不透明な面もあります。このまま民主化への道を行くのか、軍の独裁が進んで再び混乱が起こるのか、見逃せないところです。この点に関しては伝統的な支配層と経済発展によって力をつけてきた新興層との間の対立もあるようなので難しいところですね。

国際関係に関するニュースでは8月になりますがメコン産業政府対話で日本政府がメコン川流域における経済産業開発イニシアチブ「メコン産業開発ビジョン」が提案されたニュースがありました。これはタイだけでなくカンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム諸国も関わっているだけに国際関係にも影響を及ぼします。中国リスクの増大から東南アジアの比重が増している日本だけに、タイをはじめとした東南アジア諸国との政治的な関係強化も大事になってきそうです。

タイの産業界に関しては政治の混乱の影響を思いきり受けてしまっているような印象を受けます。ただクーデターが起こった当初に比べるとかなり状況は改善されているようです。

9月はGDP成長において明るいニュースが

9月始めには第2四半期の実質GDP成長率が発表されました。それによると前年同期比で0.4パーセントの増加。わずかな増加ですが、クーデターが発生して以降低迷がずっと続いていたため増加に転じたことは非常に明るいニュースといえます。ただその一方で世界経済の停滞の影響を受けて2014年の実質GDP成長率の見通しを1.5~2.0パーセントへと下方修正しました。正直な話この数字でも達成できるのかちょっと怪しいと思っているのですが、それも政治がどれだけ安定するか、消費者のマインドがどれだけ変化するかにかかっているのでしょうね。8月には上半期の輸出額も発表されましたが、前年同期比0.4パーセント減と今ひとつの結果でした。

日本とのつながりでは下旬に山際経済産業副大臣がタイを訪問して副首相や商務副大臣と会談したニュースがあります。この会談では日本とタイが酸化する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の早期妥結における関係強化などが確認されました。TPPとは別にこうした東南アジア諸国との関係強化も日本にとっては重要なポイントとなるだけにうまく話が進んで欲しいものだと思います。

このようにタイの産業界は政治の混迷の影響から少しずつ回復しつつある一方、世界経済の低迷の影響を受けている状況です。国際関係の中で信頼回復や関係強化をどれだけうまくやっていけるかが景気回復の鍵となるのではないでしょうか。