タイで戒厳令が解除されるも、いまだ政情不安は続く

2015年4月1日、タイで前年の5月に起きた軍事クーデターの際に発令された戒厳令が解除されました。その数日前から、プラユット暫定首相が戒厳令の解除について言及していたことや、プミポン国王に戒厳令解除の承認を求めていたことなどが報道されていたため、現地ではそれほど意外なこととは受け取られませんでした。

軍事クーデターが起こって10か月経過し、観光客の減少など、その間にタイ経済がこうむった影響が大きくなってきたことなどから、戒厳令の解除に至ったと見られます。国内外の観光業界にとっては待望の解除で、歓迎をもって迎えられました。

ただ、プラユット暫定首相は、軍が主導する機関である国家平和秩序評議会の議長でもあり、暫定憲法44条に基づいて、これまで以上に強力な治安への権限を持つ命令を発令することで、国内外から大きな批判を招いています。4月7日には、軍事政権が外国メディアや国際機関などを外務省に招いて説明会を開催し、暫定憲法44条に基づいた命令の必要性やその背景などを説明し、国外に向けて理解を求めました。

タイ国内においても、プラユット暫定首相の治安権限に対して、報道の自由に反していると不支持が表明されましたが、軍事政権はそれに対し「2014年5月の軍事クーデターやそれに先立つ戒厳令の発令は、タクシン元首相派と反対派の激しい政治対立が原因である。双方の衝突で多くの国民が犠牲になったが、軍が引き下がると騒動がふたたび起こる」と答えました。プラユット暫定首相自身は、可能な限り最善の方法で権力を行使することを語っていますが、国民の自由を抑圧する命令に対しては、国外から厳しい目を向けられることと思います。

戒厳令が解除されたものの、いまだにタイの治安は不安定なようです。4月10日にはリゾート地であるサムイ島のショッピングモールにて爆発が起こり、外国人観光客が負傷するという事件もありました。犯行声明はないものの、イスラム過激派のテロと見られています。こういう状況ですので、今、日本人がタイに行っても楽しく旅行できる保証はありません。現地で働いている人も安全な生活が送れるよう一刻も早い治安の回復を願います。これからタイで働きたいと考えている方は今がタイミングなのか、よく考えてください。