タイ新車販売台数好調と収まらない政治混乱

タイの新車販売台数は2015年中盤に前年割れはあったものの、その後好調に推移し、11月では前年比4.6%増の7万6000台、12月では前年比13.3%増の10万の大台に乗せています。

タイのトヨタ自動車によると、2016年1月からの新物品税導入を前にした、駆け込み需要であると推測されています。2015年の通年の販売台数は前年比で9.3%減の80万台を若干割れた台数となっており、ファーストカー減税終了の2013年以来、3年連続で減少しています。車型では乗用車が19.1%減と最も大きく、商用車は2.2%減と踏みとどまっていますが、1トンピックアップトラックは5.7%減となっています。

2015年の通年のブランドでは、レクサスを含むトヨタがシェアトップ33.3%で26万6005台、いすずが14万4295台、ホンダは11万2178台となっています。2015年タイは干ばつと農産物価格下落に伴って消費者の購買力が低下し、家計債務が拡大したことなどが販売台数の押し下げを招いたものと見られています。金融機関の自動車ローン借り入れ条件が厳格化したことも不振の原因です。2016年1月から、排出量を基準とした新物品税が導入されることを受けて、トヨタは駆け込み需要が発生したことを考慮し、2016年の販売見通しを約10%減の72万台と発表しています。

タイは東南アジアの優等生と言われており、堅調に経済成長を遂げてきました。成長によって中間層が厚くなれば社会的に余裕が生まれて政治も安定すると見られていましたが、タクシン元首相を支持する層と反タクシン派との民衆の争いは逆に激しくなっています。

タクシン氏は首相時代の経済政策によって、成長果実である富が既得権集団に集中する傾向が生まれ、弱者の声が政治に反映されにくい状況であったため、不平等感が社会に広まっていました。この格差社会を利用して、人口の半分近くを占める農民に補助金をばらまくなどして支持を勝ち取ってきました。妹のインラック首相も同様の政策で農民の歓心を買ってきた歴史があります。タクシン元首相の強引な政策は、反タクシン派を糾合させて、妥協を許さない雰囲気を生んでしまっています。成長だけに目を奪われ、富の再分配による社会の公平・平等化という目標を見失ってしまったことが根底にあります。今後、タイの政治混乱は、民主主義化のプロセスとしてどのように推移していくか注目されます。